http://www.aynrand2001japan.com/akira/akira20080501.html
David S. Landes, The Wealth and Poverty of Nations: Why Some are Rich and Some So Poor? W.W.Norton.,1998
アキラのランド節
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最近出会ったいい男(第1号) [05/01/2008]
おひさしぶりです。みなさまお元気でお過ごしでしょうか。5月の風をゼリーにして私にください。はい、そうです。これは中原中也のパクリです。
怒涛の労働から解放された研究休暇の日々を、私は「砂糖壷にはいったアリ」みたいに過ごしております。好きなものに埋まって窒息しそうです。「研究」はせずに、好きな本ばかり読んでいます。「酒池肉林」の日々です。本って、私にとっては「男」みたいなもんですから。
ああ・・・去年の今頃は、週に11クラス担当して、疲れきりながら、右目白内障でよく見えないままに頑張っておりました。本を読める状態ではありませんでした。「修道女」みたいな清く正しい生活でした。つまらんはずだったぜ・・・
今は、毎日、毎日、どの「男」に手をつけていいのか、次にはどの本から読もうか、あれも読みたい、これは噛み切れんかも、そっちは素直でいいけど食い足りない、あいつは手に負えないけど意外と可愛い、こいつは気取ってはいるが卑しいから最後までつきあうことない捨ててしまえ、この子は退屈だけど他の人にはいいかもしれないからBook Offに譲ろう・・・などと、淫蕩(いんとう)を極める快楽を味わっております。
アメリカに留学中の学生さんから、「なんかお薦めの本はないか。ウエッブサイトの書評コーナーはなにゆえ開店休業か。再開してください」という要望があったのですが、誰が再開するか。学会関係の雑誌とかなんかに書評書いたのをマメにサイトに転載するのも面倒くさいし、オトナだから金にならん文章をきちんと書くのは最小限にしておきたいし、凡百の匿名Blogじゃないから、しょうもないこと無責任にコソコソ書くのはいやだし。
かわりに、特に「これはいい!」と思った本(=男)を、「最近出会ったいい男」として、ランド節で紹介しようと思いました。今回はその第1号です。「愛人28号」まで行くかしらん。
で、最近出会った「いい男」は、D・S・ランデス著・竹中平蔵訳の『「強国」論---富と覇権の世界史』(三笠書房、2000年)(David S. Landes, The Wealth and Poverty of Nations: Why Some are Rich and Some So Poor? W.W.Norton.,1998)でした。今頃?そう、今頃なんです。
この本は、ずっと前に購入しつつ、訳者の名が気に入らなくて放置していました。自分で訳したわけでもないのに・・・下請けの翻訳者の名前併記しなさいよ~~とむかついていました。しかし、何ゆえか、ずっと気になっていたのです。ふと手に取り、めくり、読み始めたら、とまらなくなりました。夢中で読んでしまいました。
題名の示すとおり、世界の諸地域、諸国の栄枯衰退の原因を分析しています。歴史に関する博覧強記の知識が凄いです。とてつもなく幅広いです。宦官の鄭和(ていわ)を派遣して大航海時代のさきがけとなった世界最大の帝国だった中国(明)が、自閉して世界から取り残されたのはなぜか?中国本体は長く混迷を深めたが、その人材=華僑の地球規模的活躍の背景にあったのは何か?スペインやポルトガルの衰退理由は?オランダとイギリスの台頭と、イギリスの突出はなにゆえか?帝国オスマントルコは?ロシアは?石油産出のおかげで食っている中近東諸国は、その資産(いずれは消える幸運)を生かしているのか?イスラム諸国の男たちの不毛なプライドの結末は?同じ植民地だったにしても、アジア諸国は経済的成功を成し遂げたけれども、なんでラテンアメリカとアフリカはずっと駄目なの?アフリカの再生は可能なのか?
もう~~読み終わると、10センチぐらい身長が高くなったような気がします。目線が高くなるといいますか、見える景色が違ってくるといいますか。知的に刺激的な本というのは、そういうものですね。アイン・ランドのThe Fountainheadは、20センチぐらい身長が伸びたような気にさせてくれましたっけ。
(まったく話は逸れますが、私がガキの頃、今は亡き長身の父親が、私を眺めて、「お前の背は、170センチぐらいまで行くな」と言いました。私は、それを信じて疑いませんでした。素直に、「身長170センチのデカイ女」としての精神形成を勝手にしてしまいました。そしたら、あなた、なんということ、身長155センチで成長が止まってしまいました!それが判明したときには、「身長155センチの可愛い小柄な女性」意識の形成を、あらためて私が始めるには遅すぎたのであります!未だに「あたいの身長170センチ」という妄想の中で私は生きています。親というものは子どもに対して不用意なことを言ってはいけませんね~~)
この『「強国」論』は、日本のことにも、かなり詳しく言及しています。たとえば、次の一節など、「危ない」記述ですが、日本に関して、こういうことを書いて発表したハーバード大学の歴史学(名誉)教授がいるのか!と驚きました。ハーバード大学なんて、日本の国立大学と同じで、類型的文化左翼の巣窟かと思っていましたから。天下のハーバード大学に対して、非常に非常に失礼なことでした。
(以下は『「強国」論』の376ページから378ページにかけてからの長い抜粋です)
反事実的条件文として、植民地主義がなければ、経済的後進国は(技術や生産の面で)もっと速く発達したはずだ、とする。賛成論はひとつの仮説にもとづいている。従属国が外国からの開発を受けず自国でも開発しておらず、そのうえ知識を学んで変わることができたら、の話なのだ。反対論は史実にもとづいている。帝国主義下でも、自治の中心として発達し、産業経済の技術を学んだり、開発したりした植民地もある。イギリス領だった北アメリカ、ロシア帝国の一部だったフィンランド、スウェーデン下のノルウェー、イギリス領香港などだ。西側以外の国では初めての例は日本で、独立していたものの、非公式な帝国主義下にあり関税制限を受けていた。とはいえ、周知のように日本は特別なのだ。
歴史から、信託政治は学校のようなものだとわかる。もちろん、多くは教師に頼っている。他よりすぐれた支配者のいる帝国であれば、その植民地は独立後よくなっている。この基準からすると、スペインやポルトガルは悪く、オランダやフランスはそれほど悪くなく、イギリスはもっとも悪くないということになる。というのも、イギリスは社会のインフラ(たとえばインドでの鉄道)に投資する意志と能力があり、現地エリートの独自統治に任せていたからだ。一九〇〇年にインドの鉄道総延長は名目上独立していた中国の三十五倍あり、イギリスの帝権と義務の意識の高さには敬服に値する(この鉄道は、綿花やその他の主だった産物を港に運び、兵士を不穏な地点に送る目的でつくられたのだと皮肉をいう者もいるかもしれないが。だが、インドの市場を繋いだことで、飢饉に弱い地方にも食料が流通しやすくなった)。
(中略) だが、この基準からすれば、時代を通して最高の植民地支配者は日本で、韓国や台湾ほどうまくいった元植民地はなく、一九五〇年から一九七三年の国民一人当たりの年間成長率は先進工業国を上回った(日本自身を除く)。私見だが、この業績は家族構造や仕事観、目的意識といったこれらの社会の文化によるものだと思う。こういった価値観は日本の支配下でも存在し、その一部は支配への反発となったが、それが自分たちの利益となる場合の対応ぶりにもあらわれ、たとえ異国の支配者に働き場所を与えられても、それは同じだった。だが、元植民地に成功がもたらされたのは、日本政府が植民地に残した合理的経済のおかげでもあり、植民地で行われたのは「日本自身も行っていた近代化努力の最高傑作」であった。
たしかに、韓国と台湾の国民はこのことに同意しないだろう。日本軍が行った暴政や拷問、虐待といった記憶は消えない。しかも日本が「公式」謝罪を拒否していることから、ますますその感情は悪化している。しかし、いったい何に対する謝罪なのか?日本の植民地制度はうまく機能していたのである。(中略)世界は分別のしっかりした者が統治すべきであり、その分別は日本にもほぼ間違いなくあった。(引用おわり)
こういう見解自体は、前にもどこかで読んだことがあります。どこかの雑誌にある韓国人女性研究者がコメントしていたのを読んだことがあります。もう5年以上は前のことです。
この韓国人女性研究者は、1980年代に、大学院生のときアメリカに留学して、指導教授に「日本の帝国主義に関して研究したい。韓国における植民地政策について分析したい」と言ったら、そのアメリカ人教授に、「日本の植民地政策は成功例だってことは、すでにはっきりしている。アジアで成功しているのは、日本の支配下にあったところばかり。日本帝国主義批判なんか、いまさら研究テーマにならない」と言われたというのです。他のアメリカ人歴史学研究者にあたってみても、同じ意見だったそうです。この韓国人女性研究者は、自国の言説とは、あまりに大違いな見解を知らされて、非常にショックだったそうです。
つまり、アメリカの歴史学においては、上記のランデス教授の見解は、共通理解事項みたいです。やっぱり、現役の帝国の学者の視野は、酷薄なほどに広く、情緒的なこだわりを蹴飛ばしています。「いつまで被害者意識でグダグダ言ってんの?そういうのは被差別民根性だつーの!どうして日本につけこまれたのか、その原因を自覚して、たゆまぬ努力とinnovationを試みるの!いまさら日本などどうでもいいだろーが!世界は道徳で動いているんじゃない!」と、アメリカの歴史研究は、東アジアから来た若き研究者に暗に喝を入れたようです。
で、この韓国人女性研究者は、公平な成熟した歴史学者として、日本の植民地政策の功罪を分析して、その論文をアメリカで出版しました。それが、M. J. Rhee博士のThe Doomed Empire: Japan in Colonial Korea (Ashgate, 1997)です。もちろん、この本は、日本支配のことを支持しているわけでは全くないです(当たり前だ)。また、ランデス教授のようなことを言っているわけではないです。しかし、鬼畜として日本を叩くというスタンスは、この本は全く採っていません。冷静な歴史研究です。この本を入手するのに苦労しました~~みなさんが、探しても簡単に手に入らないと思います。はい。
日本と韓国のこういう「歴史的問題」は、日本人と韓国人が話し合っても駄目なのかもしれないですね。利害関係のない、露骨に政治的な奇妙な後ろ盾がない善意の(?)「真の第三者」の見解と分析が助けとなるのでしょう。いないか、そんなの・・・他人を頼るんじゃなくて、互いに冷静になるしかないな。今度の韓国の大統領さんは話がわかる方のようではないですか?冷静に実(じつ)を取る方のようであります。
このランデス教授が言うところの、日本がかつて持っていたとされる「分別」(原書が手元にないので原語不明。discretionか?judgmentかwisdomか?)を、今の日本が持っているかどうかは知りませんが。ランデス教授は、(かつての?)日本人の頑張りについて、突き放して書いているようでありつつ、かなり好意的に記述しています。日本人は、いろいろあっても、結局は、うまく対処していくだろうみたいな予測もしています。「こいつら、いざとなると非人間的なぐらいに頑張るからなあ~~変な連中だよな」という「あきれ感」を正直に表現しつつ。ははは。私もそう思います~~日本人の頑張りDNAは継承されてゆきますよ。
ともかく、『「強国」論』最後の言葉は、ぐっときます。また長くなりますが、引用してしまおう。スキャナーがないので、私が「人間スキャナー」やります(みじめ・・・)。
(以下は『「強国」論』の本文最後494ページから495ページにかけてからの抜粋です)
では、貧しい人たち自身はどうすればよいのだろう?有効な治療法は自分たち自身の中にある。歴史は教えてくれる。海外からの援助も有効だろう。だが、それは棚ぼた式に手に入れた富も同然で、かえって害を及ぼす恐れがある。努力しようとする気持ちを削ぎ、無力感を植えつけてしまうからだ。アフリカには次のようなことわざがある。「受け取る手はいつも、与える手の下にある」。いや、重要なのは、仕事や貯蓄、公正さ、忍耐、粘り強さだ。こういう態度は、貧困と飢えにあえぐ人々にとっては、自分勝手な無関心に終る可能性もある。だが実際、外部からどんなに力を与えられても、自分たちで勝ち取った力に勝るものはないのだ。
こうした議論は、お決まりの常套句を並べ立てているようにしか聞こえないかもしれない。---かつては家庭や学校で、子供たちを教育し高めることが自分たちの使命だと感じた親や教師が、こうした教えを使ったものだ。今日、われわれはこうした教えを無視し、陳腐な言葉としてはねのける。だが、名言が廃(すた)れてよいはずがない。なるほどわれわれは、デザート時代に生きている。われわれは何でもお菓子のように甘ければよいと思っている。あまりに多くの人々が、生きるために働き、幸せのために生きている。それもよかろう。だが、それでは高い生産性は望めない。高い生産性が欲しい?それなら、働くために生き、その副産物として幸せを得るべきだ。
簡単なことではない。働くために生きる人たちは、恵まれた少数のエリートたちだ。だがこうしたエリートは、新入りに寛容で、自ら選んだ道を生き、前向きな考え方を力説するタイプの人間だ。この世界でそうした前向きな考えを持っているのは、楽観主義者たちだ。彼らは正しいから前向きなのではない。ただ前向きなのだ。間違っているときでさえも、前向きだ。そしてそれこそが、達成と公正、改善と成功への道なのだ。教養を備え、目を見開いた楽観主義は報われる。悲観論者はただ、正しいことをいっているという虚(むな)しい慰めを得るだけだ。
ここではっきりいえるのは、たゆまぬ努力が必要だということだ。奇跡など起こらない。完璧などありえない。千年王国も、天啓もありはしないのだ。懐疑的な信念を持ち、独断を避け、注意深く耳を傾け、目をこらし、目的を明らかにし、手段を選ぶことが大切である。(引用おわり)
なんという心に響く結論でしょーか。そーなんです。この本は、歴史書であると同時に、「成功哲学本」であり、「自己啓発本」でもあるのです。まあ、歴史研究というものは、人間社会の盛衰を説明するのだから、当然、人間研究になるのでしょうが。
ちなみに、この本は、T・バトラー・ボードン著の『世界の成功哲学50の名著---エッセンスを解く』(宮原育子&牧野千賀子訳。Discovers社、2005年)という本の中に、紹介されてもいます。しかし、著者のボードン氏の要約では、この本のすごさは、ほとんど伝わりません。あれだけ言及してある日本のことに全く触れていないのもよくない。明らかに故意に無視しているよ~~
それにしても、この『「強国」論』のような、長年の研究の蓄積である膨大なる知識を駆使して織り成し、かつ「生きる糧」ともなるような本を、一般読者が十分に理解できるような平明な記述の啓蒙本を書ける学者って、真の学者ですね~~学者もここまで来ると、カッコいいですね~~
この本は、すっごく「男前」ですから、女性読者にはもちろんのこと、男性に是非とも読んでいただきたいです。より「男前」になるために。資質は悪くないくせに、育ちが悪くて生育暦の中でまっとうな女性に会わなかったせいか、不細工なために女性に邪険にされてきたせいか、理由は何であれ、どうにも女性蔑視(=女性恐怖)から抜け出せない男性には、特にお薦めします。資質の悪い男は読まなくていいよ。「2ちゃんねる」に、せっせと書き込みしてなはれ。もてないまま僻(ひが)んで生きていきなはれ。加齢臭を漂わせながら。
(以下は『「強国」論』の356ページから366ページにかけての抜粋です)
性差別と経済との密接な関係は非常に重要である。女性を否定することは、国から労働力と才能を奪うことであるが、さらに一層悪いことに、男性が何かを成し遂げようとする意欲を傷つけることでもある。若者を育成するのに、彼らの半数が生物学的に他の半数よりすぐれていると考えているようでは、意欲を鈍らせ、成功の価値を低くしてしまう。男の子を軍司令官(パシャ)と呼んだり、イランでそうしているように、男の子は黄金のペニスを持っていると教えるようでは、彼らが何かを学び、実行する必要性を限定することになってしまう。念のためにいうと、社会が仕事やその成果に関して独自の制限を加えていても、それなりの成功を収める者は出てくるだろう。しかし、全国民からの成果を期待できる他の社会と競合できるはずがない。
ある国が成長し、発展する可能性があるかどうか見るのにもっともよい鍵は、女性の地位と役割である。これこそ今日の中東イスラム社会にとっての最大のハンディキャップであり、これらの社会の現代化を妨げている欠点である。たしかに、女性を蔑視し、男性にへつらう社会は他にも存在する。純粋な社会はどこにもない。ラテンアメリカにおけるマチズモ(男っぽさを誇示すること)や、日本における男性の絆と父親不在の家庭を考えてみるといい。いわゆる西洋先進諸国でも、この点においては改善の余地がある。
しかし、性差別の程度を、最悪の状態をゼロとして完全な平等まで秤に表示すると、イスラム国、特にアラブのイスラム国は最低の数値を示すだろう。(引用おわり)
強国の国民でいたいのなら、人材が必要ならば、性差別なんかしていちゃいけないんだよ!性差別は、負け犬国家の男がやることなんだよ!!自爆テロしかやること考えつかないほど、迷信と非合理と妄想の集積である宗教(宗教はみなそうだけど)で脳を侵されて思考停止した偏狭貧乏男がやることなんだよ!
え??ひょっとして、『「強国」論』は、西洋近代中心主義思想、特にアングロ・サクソン中心主義なんじゃないかって?はい、そうですよ。それが何か問題でも?
あなた、「多文化主義」なんて、本気で信じていますか?「多文化主義」なんて、コスプレみたいなもんですよ。一律みんないっしょは画一的で面白くないから、ちょっと「お里」ぶりを出し合って面白がりましょうよ~~って程度のことですよ。そのあたりでとどめておかないと、危ないです。特に女にとっては、そうなのです。
基本線は、やっぱり西洋近代の路線で行くしかないでしょう。この期に及んで、21世紀にもなって、サティ(suttee:インドの田舎にまだかすかに残っている寡婦の殉死の強制的風習。亭主の親族が遺産を独り占めしたいから)だの、クリトリス切除(アフリカに残っている女性性器の陰核切除の風習。不倫防止らしい。ならば男のも切っちゃえ)だの、女は文盲でいいだの、一人で外出禁止だの、ノースリーヴはいかんだのと、グチャグチャと馬鹿なこと言っている文化なんか尊重する必要などありません。
「多文化主義」とは「国連の会議」であります。偏狭無知蒙昧国にもプライドはあるから、敬意を払って、礼儀正しく聞きましょう~~という身振りなのです。少なくとも、アジアやアフリカの女にとって、自国の伝統的(性)文化に対する多文化主義的尊重など、ろくなもんじゃない。
まあ、私も「脱英米文化中心主義」を考え試みたこともありますが、公平に見て、英米文化のほうがまし(lesser evil)だと、思うのです、やはり。少なくとも理念レヴェルにおいては。ただし、この英米文化が達した思想水準と、個々の個人の英米人の水準とは、別の問題です。英米の思想がすぐれているからといって、個々の個人の英米人の知性や精神がすぐれているとは限りませんから。でも、読むかぎり、やっぱり英国やアメリカの本は面白いものが多いです。自前で考えるより、翻訳したほうがまし・・・という日本の知的後進性は、まだまだ続かざるをえないのではないでしょうか。
と、思っている私には、『「強国」論』は、非常に説得力があり痛快でした。この方の『ダイナスティ---企業の繁栄と命運を分けるものとは』(中谷和男訳・PHP研究所、2007年)も面白かったです。さっそく、未訳の著書なんかも注文しました。会えてよかったなあ、ランデス教授。太平洋越しにお慕い申し上げます。
ところで、5月の最後の日曜日にある学会のシンポジウムの準備が、全くできておりません。やる気になりません。あ~~だんだん頭が痛くなってきた~~時よ、とまれ。私は、まだ「砂糖壷の中のアリ」でいたい。
Amazon.com Review
Professor David S. Landes takes a historic approach to the analysis of the distribution of wealth in this landmark study of world economics. Landes argues that the key to today's disparity between the rich and poor nations of the world stems directly from the industrial revolution, in which some countries made the leap to industrialization and became fabulously rich, while other countries failed to adapt and remained poor. Why some countries were able to industrialize and others weren't has been the subject of much heated debate over the decades; climate, natural resources, and geography have all been put forward as explanations--and are all brushed aside by Landes in favor of his own controversial theory: that the ability to effect an industrial revolution is dependent on certain cultural traits, without which industrialization is impossible to sustain. Landes contrasts the characteristics of successfully industrialized nations--work, thrift, honesty, patience, and tenacity--with those of nonindustrial countries, arguing that until these values are internalized by all nations, the gulf between the rich and poor will continue to grow. --This text refers to an out of print or unavailable edition of this title.
From Publishers Weekly
Landes (Revolution in Time), Harvard professor emeritus of history, undertakes an economic and cultural history of the world during the past five centuries. His well-written, sometimes witty analysis is the kind of work one wants to pause over and reflect upon at each chapter before moving ahead. Landes's principal argument is that the richest nations continue to prosper while poorer nations lag behind because of their relative ability or inability to exploit science, technology and economic opportunity. In every case?from ancient China to modern Japan?he maintains this is largely the result of national attitudes about a myriad of cultural factors. Landes traces the story of England's industrial revolution and America's system of mass production as indicators of the West's superiority over the rest of the world. Some of his historical illustrations are thought-provoking: for example, the importance of air conditioning to the development of the New South in the U.S. and the impact of a lifetime of eating with chopsticks on the manual dexterity of Asia's microprocessing workers. Most of all, Landes stresses the importance of cultural values, such as a predisposition for hard work, open-mindedness and a commitment to democracy, in determining a nation's course toward wealth and power.
Copyright 1998 Reed Business Information, Inc. --This text refers to an out of print or unavailable edition of this title.
Most Helpful Customer Reviews
134 of 152 people found the following review helpful
4.0 out of 5 stars Interesting, even memorable, but probably misleading January 31, 2001
By Peter J. Adams
Format:Paperback
The object of this book is to survey and explain the fast or slow economic development of different parts of the world from about 1500 to the present. Landes mainly takes a regional perspective looking at Europe, Asia, Middle East, Latin America, and so on with some refinement to the national scale (e.g. China vs. Japan, Britain vs. Spain).
Landes strongly advocates the point of view that cultural values (work ethic, thriftiness, attitudes toward change, technology, women) are primary determinants of economic success or failure. Although many, including myself, find this thesis lacking and controversial, there is still an abundance of interesting and useful information in this book.
On the plus side, Landes offers a wealth of fascinating anecdotes, introductory information on the history of technology that was new to me, a clear and definite argument, and above all gives the reader some sense of the importance of culture in the economic realm. Although I personally feel that Landes overstates the importance of culture, the points he makes do have some validity and are generally under appreciated. Moreover, the author is remarkably fair minded for someone advocating a controversial thesis.
Don't be fooled by the reviewers that make fun of the author for suggesting that eating with chopsticks has given Asians manual dexterity that is advantageous to their high-tech manufacturing sector. In fairness to the author, this statement is a single sentence in a 500 page book and he immediately admits that most of his colleagues smirk when they hear it.
On the minus side, the author verges on severe cultural stereotypes a few too many times. The Asians are all thrifty and hard working while the Latins have been brain washed by the Catholic church. Landes more or less ignores several non-cultural challenges that poor countries face: unfair pressure from wealthy countries to open their markets, scarcity of capital & technology, a brain drain that leaves the best and brightest in the developed world. Finally, a remarkable failure is that Landes doesn't examine the idea that cultural values may be largely determined by the material & economic conditions of a country.
The book's writing style is casual and conversational, but sometimes unclear and confusing. Many times I was not sure exactly what the author meant and wished he had written a complete sentence instead of a short and vague phrase.
The bottom line is that the book is a worthy read. While not fully convincing, I found myself having a new appreciation for the importance of cultural values in the economic realm.
5.0 out of 5 stars Essential Reading for Students of Economics and Public Policy December 28, 2005
By Allen B. Hundley
Format:Paperback
As Amazon readers may note this is a controversial book, generating more than 140 reviews since it was first published in 1998. The continuing interest is due at least in part to its promotion by some political conservatives as an answer to books like Guns, Gems, and Steel by Jared Diamond. Indeed the very relevance of this book to contemporary policy-making is the fuel that maintains the flames of a healthy debate between those on the Left and Right. Landes' arguments are forceful and convincing as far as they go and his book is essential reading for every student of world history and economics. Whether his model takes us ultimately in the direction we as a civilization really want to follow is a more subtle and profound question.
First, let's refute some false charges against Landes. He is not a racist, or an apologist for capitalist exploitation, or an ethno-centrist. He fully acknowledges the influence that geography and natural resources have on a nation's development potential and his critique of European colonialism is devastating. He completely rejects the theory of comparative advantage and long sections of the book are devoted to describing the exploitation of women and children in the early industrial periods of England and Japan.
Landes is equally critical of forces that restrict or deny freedom of thought, showing clearly how they held back nations that should have played a more dominant role in world economics. In the case of European development the single most important villain was the Catholic Church but authoritarian and totalitarian regimes of all stripes come in for condemnation.
In a nutshell Landes argues that cultural values like honesty, thrift, initiative, respect for property rights, and openness to new ideas are the key determinants of whether nations succeed or fail economically. We've heard this argument before and Landes explicitly acknowledges his debt to Max Weber, the nineteenth century sociologist who popularized the idea of the `Protestant ethic' as a historical force.
China is a major test case for Landes. Despite an impressive lead in technology, from gunpowder to printing, during the early years of European expansion, China failed to take advantage of that lead and came under European domination. The problem was not a lack of technical ability on the part of the Chinese but the fact that the nation was controlled by an imperial court that had no interest in using practical knowledge. The people at the top had everything they needed and saw no reason to allow local entrepreneurs to develop a free market economy. Such an economy might create local power centers which could challenge central authority so all such efforts were quashed before they could begin.
The centralized totalitarian rule of Chairman Mao in the twentieth century can be viewed as just a modern manifestation of this continuing characteristic of Chinese civilization. When, after Mao's death, the communists changed course and decided that capitalism was not so bad after all, the result has been the fastest growing economy in the world, fueled by foreign investors who had enough confidence that they would see a return on their investment. All of which seems to prove Landes' argument that initiative, openness to new economic (but not political) ideas, etc. bring wealth to a society just about every time.
At least for some in the society. The problem for emerging economic giants like China and India is that only one in five, chiefly city dwellers, enjoy the fruits of their society's newfound prosperity. As to how to solve this problem of equitable distribution or the problem of workers who lose their jobs to cheaper labor markets overseas Landes admits he has no answers.
Thus, The Wealth and Poverty of Nations is a splendid analysis of world economic development up until the beginning of the 21st century but it does not address the really profound problems now emerging. In particular it says nothing about the coming revolution on the horizon brought about by genetic engineering, robotics, and nanotechnology. Nor does it address the equally important issue of global economic fragility due to extreme interdependence and complexity. For these the key books are The Collapse of Complex Societies by Joseph Tainter, arguably the most important book of the 20th century; Collapse: How Societies Choose to Succeed or Fail by Jared Diamond; and, if one is up to a darker but nonetheless carefully reasoned analysis, The Long Emergency by James Howard Kunstler.
Society is far more fragile than most Americans realize. This reviewer, having lived and worked in places like Cambodia, Rwanda, Bosnia, El Salvador and many others, knows from first hand experience that the civilization we take for granted is a frightfully thin veneer. Once shattered it cannot be easily restored. Nor should we be lulled into the false belief that it could never happen here. We have only to look at our government's grossly incompetent response to a catastrophe affecting just a handful of states (Hurricane Katrina) to realize the impossibility of an effective response to a catastrophe national in scope.
Which is why The Wealth and Power of Nations and the others cited above are so important. Heaven forbid that an economic or natural catastrophe should thrust upon us global political and economic disintegration but an honest analysis must admit the possibility. Should that happen we may hope that the wisdom and insights contained in books like these will guide those who survive toward a new, wiser, more responsible, and more gentle civilization.
3.0 out of 5 stars Superb historical overview, but it doesn't quite deliver... July 22, 2001
By Hilde Bygdevoll
Format:Paperback
"The Wealth and Poverty of Nations: Why some are so rich and some are so poor" is a reflective, interesting, and a well-written book. The author possesses an amazing knowledge, both historical and geographical. While he is an academic and therefore at times goes into unnecessary detail or support of his arguments, he serves us the occasional entertaining anecdote, which makes this book both readable and funny.
To explain why the economic development in the world (from about 1500 to the present) has happened at different paces and with different degrees of success is not an easy task to undertake. To do so successfully is even harder.
Landes strongly advocates the point of view that cultural values, such as technology, thriftiness, work ethic, and women, are the primary factors of economic success or failure. I truly enjoyed reading the authors observations on the various cultures and their economic successes and failures (a little minus here is Landes tendency to lean on the cultural stereotype just a few too many times). I now have a better understanding for the importance of cultural values in the economic area. Why the UK fell behind the rest of Europe, or why China by deliberately choosing to isolate the country, lost their economical/technological jump-start on Europe. I also have a greater awareness of the effects of religion; that there can be little doubt that the religious-based repression/bias towards women will continue to slow the economic development and success of the societies in which this still occur.
There is an abundance of interesting and useful information in this book, and I did learn a lot of new facts from this book. Nevertheless, I am not sure that I am left with a better understanding of the key factors that drive economic success. I can't help feeling that I worked my way through the five hundred pages waiting for the "little extra" - that never came. So even if Landis handles the facts and analysis very well, I still miss is the one, grand theory that explains it all.
Bottom line, "The Wealth and Poverty of Nations: Why some are so rich and some are so poor" is a superb historical overview, but it doesn't quite deliver what it promises - the one theory that wraps up everything, and offers some insights to the question that we all ask ourselves: "Why some are so rich and some are so poor".
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